かっちゃん

今日は恐ろしく暖かかった。
ちょっと間違えて二ヶ月ぐらい寝てたんじゃないかと思うくらいぽかぽか陽気。
ただし、人間あまり快適な状況に放り込まれると頭のヒューズが飛んでしまうから
気をつけねばいかん。
いい例が「かっちゃん」なのである。
今日は暖かいもんだから、休み時間には例のニートやらと久々にキャッチボールをし、
放課後には久々に部活にも出たのである。
帰りは一駅乗り過ごしたりしてちょっと凹んだけど、いつも通り最寄り駅に着いた。
ここで「かっちゃん」が登場する。
自転車にまたがり、颯爽と家路につこうと走り出したところ、
前から20歳ぐらいの男が両手を振りかざし、奇声を上げながら走ってくるではないか。
『かっちゃんが乗るの!かっちゃんが乗るの!』
間一髪、「かっちゃん」の真ん前でブレーキをかける。
しかしなんと「かっちゃん」は手を伸ばしてハンドルを奪おうとするではないか。
その上ニット帽の下から覗く目が尋常ではない。
身の危険を感じ、横方向に急発進するも、「かっちゃん」はギャロップで道を塞ぐ。
『おじちゃん!かっちゃんが乗るんだよ!』
ついに人生初のおじちゃん呼ばわりまでされてしまった。
そんなことを考えてる間もなく、また手をハンドルに伸ばしてきたので、
清水顔負けのロケットスタートかましてなんとか振り切った。
「かっちゃん」恐るべし。


春が来るのは嬉しい限りだが、ヒューズを飛ばすのはやめてもらいたいもんです。